第33話

 零時。いつものように集合した俺たちは、点呼の後目を閉じた。慣れそうで慣れないこの、目の裏に月影の姿が浮かぶ感覚。

「こっちです〜!」

 月影の先にあったのは、部屋の扉。ここに伊達がいるのだろうか。そう思い扉を開けると、猫と戯れている伊達が居た。あの改造制服ではない、恐らく普段着のパーカー姿で。髪もおろしていて、そこに居るのは普通の女の子だ。そして、ぱっと見普通の猫だ。何処が化け猫なのかわからない。既に術中なのかもしれないので、警戒はしておく。

「……あ? 何だお前ら、どうしてここに居るんだよ」

 伊達がこちらに気づいた。猫を抱きかかえながら、こちらに歩み寄ってくる。

「何で夢の中でまで風紀委員ちゃんと会わなきゃいけねーんだよ」

「わ、私だって好きで貴女の夢に入った訳じゃ……!」

「はい、ストップ。咲夜、冷静になれ」

「う、うん……」

 咲夜が今日手に持っているのは、巨大な水鉄砲だ。中に入っているのは鉛の弾丸なのか、それとも違うものなのか。それはその時にならないとわからない。

「それで? 何でアタシの夢にお前らが出てくるのかはわからねーけど……何とかしてくれるんだろ? この悪夢」

「ああ、そうしたいところなんだけど——すぐには無理そうだ。俺たちも対策を練るよ」

「解決するならいいけど、あんまり夢見が悪いのはごめんだぜ」

 素顔の番長は、茶髪を翻してそう言った。