すでに作家としてスタートを切っている方々に、作家生活についてのさまざまなお話を聞く「ネオページ・インタビュー」。
今回は、誰かを楽しませる話が書いてみたいと思う『凪瀬夜霧』さんにお話を伺いました。
——まず、自己紹介をお願い致します。
凪瀬夜霧 初めまして、凪瀬夜霧(なぎせやぎり)と申します。
普段はオーダーメイド小説を書かせていただいております腐女子です。
この度素敵なご縁を頂き、ネオページさんにて「おまけの兄は異世界で騎士団のお世話をします」という作品を書かせて頂く事となりました。
ファンタジーも人外も大好きなので、おまけのお兄さんを今後全力で甘やかしつつ幸せにしていきたいなと思います。
——小説家を目指したきっかけは何ですか?執筆活動で影響を受けた作家や作品はありますか?
凪瀬夜霧 元々は漫画が好きだったのですが、どうしても絵心がなく小学生の時点で諦めました。
同じ頃に児童書ではなく小説というものを初めて読み、この方法なら自分の空想や妄想を伝えられるのではと思い、見よう見まねで書いたのがきっかけです。
この時、運命的に出会ったのが田中芳樹先生の「創竜伝」でした。
キャラが面白い! なんか難しい事も言っているけれど興味がある。そんな感じだったと思います。
そこから同先生の「アルスラーン戦記」を読み、ファンタジーや戦記物の面白さや策略を巡らせた物語の深さを知り、いつかこんな風に誰かを楽しませる話が書いてみたいと思うようになったのが作家を目指した理由です。
——これまでにどれくらいの作品を書かれましたか?特におすすめの作品とその理由を教えてください。
凪瀬夜霧 10万字を超える長編は7作品くらいですかね?
短編はもう少し書いていると思います。
その大抵は成人指定作品なので(元々私は成人向けBL作家なので)気軽に読んでみてくださいとは言えないのですが。
全年齢でしたら現在此方で書かせて頂いております「おまけのお兄さん」ですかね。
聖女(実妹)召喚に巻き込まれたおまけのお兄さんが辿り着いた獣人の国。
瘴気に悩まされ、苦しめられる世界を救国する物語ではありますが、このお兄さんに一切の覇気がないのです(笑)
なんか、のほほんとしているのですよね。あと、彼が作る料理が美味しそうです。
でもそんなお兄さんが抱えている過去は意外と重いもので、本人もそれが自分にどんな影響を与えているか自覚が無かったりしています。この辺りは物語の進行と同時に少しずつ暴いていこうかと思いますが。
なんと言ってもこれ、聖女の性格が悪くてとかないんです。聖女は実妹でお兄ちゃん大好きなので、寧ろ仲良しで。
そしてお兄さんを側で支える相手役の雪豹獣人クナルや、後に彼のブレーンとなる王太子、お世話をしている騎士団の面々など魅力的な人物との関係も良い所です。
そして、世界を穢す瘴気の謎とお兄さんを導く存在。
まだ始まったばかりで秘密な部分もありますが、ゆっくり紐解きながらモブお兄さんの救済物語を書いていけたらと思います。
——作品の魅力を表現するために、通常どのような技法や要素を取り入れていますか?
凪瀬夜霧 技法だなんて難しい事は意識していませんよ。
ただ、BL作品というのは恋愛小説なので、あんまり難しい言葉を多用しないようにとは思います。だって、普通の人だってそんなキラキラな美しい言葉で恋愛していませんよね?
なんなら「マジで推す。マジ尊い」で愛の重さと種類が伝わったりもします。
キャラにもよりますが、素直な心で。思い悩むのか、素直に言うのかはキャラの性格などを考えて。物語の構成なども大事だし、設定も大切ですがそこで生きる彼等を感じて書いていくのが私には合っている書き方なのかなと思っています。
——今回の連載新作で、読者に特に注目してほしい点は何ですか?
凪瀬夜霧 無自覚お兄さんが甘やかされて戸惑いながらも嬉しいという瞬間の可愛さですかね?
とにかく自分に魅力なんてない。周囲が笑っていれば嬉しいな。という、完全モブな考えのお兄さんを主人公に据えております。
でも、このお兄さんの良さを分かっている人もいるんです。
その筆頭が相手役の騎士クナルですが、彼にあまやかされて驚きながらも受け入れて恥ずかしそうにしている時が一番可愛いと思います。
恋を自覚したり、相手に迫られたらこのお兄さんどうなっちゃうの? 真っ赤になってオロオロしながらも流されるよね! そういう不器用で初心な感じも可愛いと思いませんか?
——初期に「ネオページ」とやり取りをしていた際、どのように感じていましたか?
凪瀬夜霧 正直に申しますと、嘘だ~(笑) と思ってしまいました。
なにせそこそこいい年で、出版詐欺(?)などもあった時代から活動していて、公募にも出しましたがまったく芽の出ない人生でしたから。このまま趣味として、読んで下さった方がリアクションしてくれるだけで幸せと思っていたのです。
そこへ突然のお声がけだったので、まずは警戒してしまいました(本当にすみません)。
ですが、その後親切に話をしていただき、教えていただく事で「本当なんだ」と実感できて、その後は嬉しいやら戸惑うやらで暫くソワソワしていました。
本当に、有り難い事です。
——「ネオページ」と契約する決め手となったものは何ですか?
凪瀬夜霧 作品を評価していただけた所と、不明点などへの適切な対応と回答、不慣れでミスをした時にも親切にしていただけた事ですね。
——契約した現在、「ネオページ」との契約の形についてどう評価していますか?もし以前に不安に感じていた点があれば、現在はどのように感じていますか?
凪瀬夜霧 契約にあたり他の出版について少し調べましたが、むしろ親切な契約なのではと思いました。
契約作品を優先して執筆する事は当然ですが、その他の個人的活動についての制限はない。
個人的に同人活動もしていますし、R18作品も書きたい欲求はあるので今までの活動も可能。
個人の方からのオーダー作品も今まで通り書ける。
この辺りに制限があると言われてしまったらおそらく契約はしていなかったと思います。
作家の自由度を大事にしていただけるのは大変有り難いなと思います。
——執筆中に直面する主な悩みや課題は何ですか?逆に、最も楽しいと感じる瞬間はいつですか?
凪瀬夜霧 集中力が切れた時がしんどいですね。
この夏は暑いですし、執筆だけをしているわけではないので。
筆が乗っている所で邪魔が入ると途端に意欲が失せてしまう事もあります。
ですが、やっぱり書くのが好きで楽しいのです。
書きたいと思う気持ちをちゃんと書き切れた時や、一話一話をしっかりと書き終えた瞬間の達成感はどれだけ書いていても嬉しいものです。
あとはやはり、物語の彼等がそれぞれ幸せになってくれた時が嬉しいです。
——「ネオページ」からどのような支援を期待していますか?現在、「ネオページ」の編集者との交流で感じていることは何ですか?
凪瀬夜霧 支援という所では今も十分していただいていると思っています。
担当さんとは打ち解けた感じが今はあり、頂ける感想やアドバイスも的確で嬉しいなと思っています。
何より感想がとても楽しくていいなと思います。固い言葉じゃなくて率直なリアクションが一番共感するんだと思います。
「ここで笑ってくれるの嬉しい!」とか「あー、わかるー」と、私も一緒にリアクションするのが楽しいので。
だからこそ、アドバイスも素直に聞き入れる事ができます。
——一日のうち、どれくらいの時間を執筆に割いていますか?「ネオページ」の契約作家になってから、日常生活と執筆活動のバランスはどのように取っていますか?
凪瀬夜霧 一日合計5時間くらいを執筆に割いていると思います。
ただこれはネオページさんで書かせて頂いてから増減したとかではなく、元々の生活でこの程度書いていたのです。
なので日常生活にはこれといった変化はなく、個人の執筆時間を調整するなどして書かせて頂いている感じです。
——周囲に執筆活動を支えてくれる、または応援してくれる人はいますか?応援してくれるファンに向けてどのような言葉を贈りたいですか?
凪瀬夜霧 リアルではあまりいませんが、他サイトで活動していた頃の読者さんは気にかけてくれているように思います。
本当に有り難い事です。
一次創作は孤独なもので、しばらくは本当に自分が書きたいから書くという戦いをしています。
その中で「好き」と言ってくれる人が一人でもいてくれたら、もうその人に届くように絶対に最後まで書いてやるんだ! という闘志が湧いてきます。
へこたれてもやっぱり読者さんが支えて応援してくれたら、それだけで作家は元気をもらいます。それを作品という形でお返しするのが私なりの感謝だと思っています。
——今後どのような作品に挑戦したいと考えていますか?
凪瀬夜霧 BL作家なので、やはりそこは変更なしですが。
マルチエンディング小説なんてのも面白いなと思っています。
複数の攻略キャラと最初は共通のシナリオを進んで、キリのいいところでそれぞれの攻略キャラのシナリオへと移行していく。
キャラ分の物語を考えなければならないのでもの凄く大変ですが、それも面白いなと思います。
——小説家としての活動で達成したい目標は何ですか?今回の契約がどのような影響を与えたと思いますか?
凪瀬夜霧 目標としてはやはり、自分の書いた作品が書店に並んだら嬉しいですね。
同人活動で本は作っていますが、普段行く書店に並んでいるというのは小さな頃の私の夢なのだろうなと思います。
その可能性が僅かでも見えただけで、この契約は大きな価値のある一歩だと思っています。
とはいえ、チャレンジャーですからね。日々精進して、堅実に頑張るだけだなと思います。
——「ネオページ」の今後の発展に対してどのような期待を抱いていますか?
凪瀬夜霧 読者さんも作家さんも増えて、賑やかな所となってくれたらいいなと思っています。
作家を動かす原動力はやはり読者さんからの「面白かった」「好き」「続き読みたい」という気持ちなんだと思います。
それを受け取る事ができればくじけそうな時もまた立ち上がれる。折れそうな時、多くの人に支えられた事があるので余計にそう思います。頂ける感想や一言が全て宝物です。それがちゃんと伝わる所であれば安心して書いていけます。
勿論これは編集さんからの言葉も同じくです。
ですから近い距離で楽しく、時には相談などもさせていただきながら今後も活動を続けていく場所であってもらいたいですね。
凪瀬夜霧先生の新作を今すぐチェックしよう!
凪瀬夜霧 BL | ファンタジーBL 連載中·23話·59,967文字 最初から読む